あらゆる階級の警察官を対象とした脅威についてのトレーニングは、最終的には英国産業全体のスキルを高めてサイバー攻撃から保護することを目的としており、今後、ほかの機関や英国の大企業に対しても実施される予定です。
[本リリースは、2014 年8月20日にKaspersky Labより発表されたプレスリリースの抄訳です]
現在、サイバー犯罪は詐欺事件において非常に大きな割合を占めており、National Fraud Intelligence Bureau(NFIB:英国詐欺情報局)によれば、10 件中 7 件の詐欺がインターネット関連の事件とされています。しかし、こうした犯罪は複雑でほかの犯罪とは性質が異なるため、警察にとっては対処が難しいだけでなく、発見し解明することも困難です。ロンドン市警察は増加する犯罪への対策として、あらゆる階級の警察官を対象とした脅威についてのトレーニングを実施するため、Kaspersky Lab に協力を依頼しました。英国の警察機関では初となるこのトレーニングプログラムによって、ロンドン市警はサイバー犯罪の特定と解決のためのスキルや知識を得ることができ、捜査の対象をオンラインショッピングで詐欺被害にあった個人から、標的型攻撃で莫大な損失が発生した企業まで広げることができます。
このトレーニングプログラムは、最終的に英国産業全体のスキルを高めてサイバー攻撃から保護することを目的としており、今後、ほかの機関や英国の大企業に対しても実施される予定です。理論的な知識と実地体験を組み合わせた1 週間のトレーニングで、参加者は Kaspersky Lab が開発した特別なトレーニングツールと方法論を活用して、ネットワークトラフィックの検査、ハードドライブイメージの分析、悪意あるソフトウェアのリバースエンジニアリングなど、サイバー犯罪対策に不可欠なスキルを身につけます。また、警察やセキュリティ企業が問題を明確に把握できるように、不正報告のプロセスを改善するという企業のニーズにも対応しています。
今年 2月には、NFIB のメンバーがこのプログラムを受講しました。コースで重点が置かれているのは、英国のオンライン詐欺で最も多く標的にされる金融機関や政府機関に対する脅威ですが、受講者が学んだスキルは、一般のユーザーが直面するサイバー脅威への対処にも応用できるようになっています。
ロンドン市警察の経済犯罪対策本部 刑事部長 David Clark 氏は次のようにコメントしています。「サイバー犯罪は絶えず複雑さを増しているため、警察機関もそれに遅れずに脅威に関する知識を蓄積することが求められています。2014 年 第 1 四半期における英国でのコンピューター不正利用犯罪が 21,000 件を超えていることからも※1、個人と企業がリスクにさらされ、保護を必要としていることは明らかです。Kaspersky Lab とのパートナーシップにより、英国での経済犯罪捜査を主導するロンドン市警の役割が改めて明示されるとともに、英国全土において詐欺とサイバー犯罪に対抗する能力が強化されるでしょう」
また、Kaspersky Lab法人営業兼事業開発担当バイスプレジデントのベニアミン・レフツォフ(Veniamin Levtsov)は次のように述べています。「ロンドン市警察に、未来の脅威への対処も可能にする Kaspersky Lab の幅広い専門知識を提供できることは大変な名誉です。弊社は 17 年間にわたって、データ収集とサイバー犯罪捜査のための強力な技術を開発してきました。それは英国の警察機関にとって貴重なツールとなるはずです」
ロンドン市警察と Action Fraud について
英国の詐欺対策専門機関 Action Fraud は、2013 年 4 月以来、イングランドとウェールズの警察に通報された緊急性のない詐欺犯罪をすべて記録しています。1 年以上経った現在では、個人や中堅・中小企業、大企業から提出される毎月約 18,000 件の詐欺に関するレポート、15,000 件の情報レポート、2,000 件のコンピューター不正利用レポートをまとめ、NFIBに送っています。
NFIBは、詐欺やサイバー犯罪に関する情報を集中管理する機関として、Action Fraudからのレポートを含む膨大な数のレポートを分析し、詐欺の常習犯や組織化された犯罪集団、新旧の犯罪の脅威を特定します。イングランドとウェールズの警察機関は、こうした高度な情報を活用することで、犯罪捜査の開始に必要な情報や、英国民と企業に最新の脅威への注意を促すために必要な情報を得ています。ロンドン市警察は Action Fraud と NFIB の全サービスを管理しており、全担当職員がロンドン市内の同じオフィスに勤務しています。
※1 2014年、英国家統計局