スマートフォン向けVPNのメリット
スマートフォン向けVPNサービスを利用すれば、インターネット上での活動を信頼性の高い方法で保護することができます。スマートフォンの使用時には大量の個人情報が送信されるため、サイバー犯罪者にとっては絶好の標的となります。携帯電話の通信回線とWi-Fiサービスのどちらを利用している場合でも、スマートフォンは個人情報の窃取やその他のサイバー犯罪の標的となる危険性があります。
こうした事態を避けるためにも、VPNの利用方法とメリットを理解し、デジタルライフの安全性を高めましょう:インターネットの使用時はいつでも、あらゆる種類の悪意あるサイバー攻撃の標的となる可能性があります。
VPNとは?
仮想プライベートネットワーク(VPN)は、デバイスがインターネットとの間で送受信するデータを第三者が読み取れないようにします。VPNソフトウェアは、コンピューター、タブレット、スマートフォンなど、あらゆるデバイスにインストールできます。VPNは、データにスクランブルをかけて判読不可能な形式で送信し(いわゆる暗号化)、あらゆる第三者からの傍受を防止します。
暗号化が必要な理由は、ユーザー自身は気づいていないかもしれませんが、インターネットへの接続中は大量の個人情報が送信されているからです。送信されるデータの一部を以下に挙げます(これらに限定されません):
- 機密性が高い情報を含むメール。
- SNSの認証情報やメッセージ
- クレジットカード番号や口座番号など、お金に関する情報。
- 各種パスワード。
これ以外にも、ユーザーの詳細な情報明らかにする手がかりとなり得るような要素が、データに含まれています。デバイス固有の識別番号、物理的な位置情報などです。
VPNが重要な理由は、インターネット接続が悪意のあるサイバー犯罪者によって簡単に盗聴される可能性があるためです。使用する接続が無線であれ有線であれ、あなたのデータは、ネットワークにアクセスできる他のユーザーから参照可能になっている可能性があります。つまり、パスワードで保護されているWi-Fiであっても、個人情報が不正流出する危険が潜んでいます。
VPNの仕組み
VPNがユーザーのデータセキュリティを確保し、プライバシーを保護するために使用している技術は次の通りです:
暗号化は、データにスクランブルをかけ、送信先のみが読み取り可能な形式にする処理です。その後、トンネリングプロトコルを使用して、Wi-Fiまたは携帯電話ネットワーク内に暗号化の「トンネル」を作成します。これらの仕組みにより、ネットワーク上の他のユーザーからデータを隔離および秘匿して保護することができます。ネットワークのセキュリティの有無にかかわらず、インターネット上のどのようなネットワークに接続している時でも、この保護は効果的です。
リモートサーバーは、データトンネルの到達先として機能します。データは他の国や地域にあるVPNサーバーに送信され、ユーザーの個人情報が匿名化されます。データが最終目的地に送られると、すべての位置データはユーザーのものでなく、リモートサーバーのものに置き換わります。原則としてこれらのVPNサーバーは「仲介者」として機能し、第三者による干渉からデータを保護します。
これらの主だった保護手段を併用することで、ユーザーの個人情報の流出や窃取を防ぐことができます。その結果、より安心できるレベルのサイバーセキュリティとプライバシー保護を両立させることができます。
VPNを使用すべき理由
VPNの主なメリットはプライバシーの保護ですが、それ以外にもメリットが存在します。
インターネットトラフィックを第三者による盗聴から保護します。暗号化されていない通信データは、ネットワークアクセスが可能な第三者であれば誰でも盗聴が可能な状態になっています。VPNを使用すれば、サイバー犯罪者によるデータの盗聴を防止することができます。データを解読するには「暗号化キー」が必要であり、通常のコンピューターによる総当たり攻撃でこのキーを発見しようとすれば、数十億年かかる計算となります。パスワードが設定されていない公衆Wi-Fiであっても、ユーザーの通信データは第三者による盗聴や追跡ができない状態になるので、安全に活動することができます。
VPNサーバーがインターネット上でユーザーの代理人のように機能して通信データを中継することにより、位置情報のプライバシーが保護されます。位置情報の属性データは別の国のサーバーから取得されるため、実際の位置情報を特定することは不可能です。大多数のVPNサービスでは、サービス利用ユーザーの活動記録は保存していません。つまり、ユーザーによる利用履歴が外部に公開されることは一切ありません。
地域制限のあるWebコンテンツに、どの場所からでもアクセスできるようになります。一部のサービスやWebサイトには、特定の地域からのアクセスのみを許可し、その他の地域からのアクセスをブロックするコンテンツが存在します。特に設定を変更していない状態の接続では、ユーザーの所在地の特定には国内のローカルサーバーが使用されます。つまり、旅行中は自国のコンテンツにアクセスできず、自宅では海外のコンテンツにアクセスできない場合があるということです。VPNの位置偽装により、他の国へのサーバー切り替えが可能になり、自分の位置情報が事実上「変更」されます。
リモートワーク中に企業データが流出するリスクを緩和します。会社の社内ネットワークから離れて仕事をしている際、重要な情報にアクセスする必要が生じるかもしれません。こうしたファイルは、会社の安全のためにセキュアな接続が必要とすることがよくあります。多くの組織は、セキュアな接続なしでこのようなデータへアクセスすることを許可していません。VPNサービスはプライベートサーバーに接続し、暗号化方法を使用してデータ漏洩のリスクを最小限に抑えます。
VPNを使用すべき状況
VPNには、日常生活がより便利に安全になる別の用途もあります。そのいくつかを紹介しましょう。
VPNサーバーの切り替えにより、動画配信サービスで地域限定のコンテンツにアクセスすることが可能になります。位置情報の偽装により、ストリーミングサービスはユーザーが別の国にいると認識し、自分が実際にいる国や地域では視聴できない映画やテレビ番組のコンテンツを視聴できるようになります。
旅行の宿泊施設を予約する際に、「実際」の価格を確認することができます。航空会社やホテルは、Cookieと呼ばれるトラッカーを使用して、ユーザーがどの宿泊施設を閲覧しているかを把握しています。興味のある施設が知られているユーザーの場合、業者が人為的に価格を操作する場合があります。これは、価格の変動によって購入者の焦燥感を煽りながら早期の購入を促し、通常よりも高い利益を確保するための手法です。VPNを使用すると、自分の通信が匿名化されるため、宿泊業者による価格操作ができなくなります。これにより、値上げされる前の価格での購入が可能となります。
ISP(インターネットサービスプロバイダー)などの企業による、オンライン活動の追跡を防止します。企業各社は、自社のマーケティングやサービスを向上させるために、ユーザーの属性データを利用することで知られています。こうした行為は必ずしも悪意があるとは言えませんが、このような情報が外部に漏れることを望まないユーザーもいることでしょう。一部のサービスでは、こうした属性データを収集し、第三者の企業に販売しています。販売先の企業は、属性データを保護する義務を負っていない可能性があります。データが拡散すればするほど、そのデータが流出するリスクも高くなります。VPNを使用すれば、インターネット活動とともに送信される属性データが秘匿されるため、追跡を防止することができます。
スマートフォン向けVPN
現在では、スマートフォンはインターネットへのアクセスに使用される主要なデバイスとなっています。とりわけ、外出時にはほとんどのユーザーがスマートフォンを使用していると言ってよいでしょう。そのため、ノートPCやデスクトップPCだけでなく、スマートフォンでもVPNを使用することを推奨します。
ここでは、スマートフォンでVPNを使用するメリットをいくつか紹介します:
公衆Wi-Fiを安全に利用できるようになります。最近では、公衆Wi-Fiへのアクセスにもスマートフォンがよく使用されます。こうしたWi-Fiは、たとえパスワードが設定されていたとしても、第三者からデータを盗み見ることが可能な点にご注意ください。サイバー犯罪者があなたと同じ公衆Wi-Fiのパスワードを知っていれば、同一のネットワーク上に存在するあなたの通信データを盗聴することが可能になります。VPNを使用すると、通信データを暗号化して、公衆Wi-Fiへの接続時にも個人情報を守ることができます。
お金に関するデータが暗号化されます。スマートフォンのオンラインバンキングアプリも最近では一般的になりましたが、こうしたアプリを使用すると、ユーザーのお金に関する情報がインターネット上に送信されることになります。Amazonなどのショッピングアプリを使用したオンラインショッピングの場合も、同様の危険性があります。独自の暗号化を使用しているアプリもありますが、VPNの使用により、データの保護を多層化し、強化しておくことをお勧めします。
音声チャットおよび動画チャットデータが暗号化されます。AppleのFaceTime、Skype、Google Hangoutsでのチャット、さらにはWi-Fi通話の中に、招かれざる「盗聴者」が存在する可能性があります。暗号化により、サイバー犯罪者や別の組織の第三者によってチャットが許可なく傍受されたり記録されたりするのを防止することができます。
スマートフォンでVPNを使用する方法
AndroidでもiOSでも、スマートフォン向けVPNを使用することができます。使用方法は簡単で、主に次のような手順が必要となります:
インストール前に、iOSのApp StoreまたはAndroidユーザー向けのカスペルスキー VPNの無料体験版のページからアプリをダウンロードします。評価の高いサービスの利用には、有料のサブスクリプションへの登録が必要となることがあります。
初期設定も同様に簡単です。一般的なユーザーにとっては既定の設定でまったく問題ありません。アカウントへのログインだけ、忘れずに行ってください。ログイン後に、一連の設定が行われます。
その後、VPNをオンにしてください。多くのモバイルVPNアプリでは、電灯のスイッチを入れるのと同じくらい簡単な操作となっています。VPNをオンにするスイッチは、ホーム画面にあることがほとんどです。
実際の位置情報を特定されないようにする場合は、他の国や地域のサーバーへの切り替えを手動で行います。メニューをタップして、切り替え先の国や地域を簡単に選ぶことができます。
詳細設定は、プライバシーをより綿密に保護したいユーザー向けの設定です。お使いのVPNによっては、暗号化の方法として他のプロトコルを選択できる場合もあります。また、診断やその他の機能を搭載しているアプリもあります。自分のニーズに合ったVPNを見つけるには、サブスクリプションに登録する前に、実装されている機能について必ず調べるようにしましょう。
アプリの使い方に慣れたら、機密性が高いデータや他人に見られたくないデータを送信する際には必ずVPNの機能をオンにするようにしてください。
上記の基本的な内容に加えて、VPNを使用する際は、必ず以下の安全対策を実施してください:
暗号化されるのは、インターネットのデータのみであることに注意してください。携帯電話の通信回線やWi-Fi接続を使用しない場合は、データはインターネットを経由しません。つまり、通常の音声通話やテキストメッセージは、VPNで暗号化されないということです。音声通話を暗号化する場合は、VoIPサービスを使用しましょう。Wi-Fi通話、およびSkypeやLINEなどのサービスの電話機能は、通話にインターネットを使用します。メッセージの暗号化には、AppleのiMessage、またはAndroidのRCSメッセージングなどの機能を使用しましょう。また、WhatsAppやFacebook Messengerなどのサードパーティのサービスも使用できます。
信頼できるVPNサービスを選ぶようにしましょう。VPNの安全性は、VPNプロバイダーが定めるポリシーに依存します。ポリシーは、データの使用や保存のルールなどに影響します。VPNプロバイダーは、ユーザーのデータをVPNサーバーに取り込んで、ユーザーの代わりにインターネットに接続していることを忘れないでください。VPNプロバイダーがデータログを保存している場合は、そのログがどのように使用されるかを必ず確認しましょう。評価の高いVPNプロバイダーは通常、ユーザーのプライバシーを第一に考えています。カスペルスキー VPN セキュアコネクションなど、信頼性の高いプロバイダーを選択するようにしましょう。
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