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マルウェアマンスリーレポート:2009年11月

2009年12月4日

Kaspersky Lab は、2009 年 11 月のマルウェアマンスリーレポートを発表します。

ユーザの PC 上で検知されたマルウェアランキング

1 つめのランキングでは、最初のアクセスで (オンアクセススキャナによって) 検知・駆除されたマルウェア、アドウェアおよび潜在的に危険なプログラムの TOP20 がリストアップされています。


順位順位変動マルウェア名感染したPCの台数
1   0 Net-Worm.Win32.Kido.ir  330305  
2   新規 Net-Worm.Win32.Kido.iq  174351  
3   -1 Net-Worm.Win32.Kido.ih  145332  
4   0 Virus.Win32.Sality.aa  128737  
5   0 Worm.Win32.FlyStudio.cu  93848  
6   -3 not-a-virus:AdWare.Win32.Boran.z  84825  
7   -1 Trojan-Downloader.Win32.VB.eql  63287  
8   9 Trojan-Downloader.WMA.GetCodec.s  48426  
9   1 Virus.Win32.Virut.ce  47812  
10   -3 Virus.Win32.Induc.a  46252  
11   -2 Worm.Win32.AutoRun.awkp  36453  
12   -4 Packed.Win32.Black.d  36422  
13   -2 Packed.Win32.Black.a  35094  
14   -1 Trojan-Dropper.Win32.Flystud.yo  34638  
15   -3 Worm.Win32.AutoRun.dui  32493  
16   -1 Packed.Win32.Klone.bj  31963  
17   1 Worm.Win32.Mabezat.b  29804  
18   新規 Packed.Win32.Krap.ag  26041  
19   新規 Trojan-GameThief.Win32.Magania.ckqi  25529  
20   新規 Trojan.Win32.Genome.bjgu  24730  

全体的に、11 月のランキングでは大きな変化は見られませんが、注目すべき点がいくつかあります。

まず、Kido.iq が一気に第 2 位にランクインしている事実です。このマルウェアの機能は、9月に初めてランクインしたのち数ヶ月首位を保っている Kido.ir と非常によく似ています。

次に、GetCodec.s の順位が一気に 9 ランクアップしていることが注目されます。GetCodec が検知された PC の台数は、先月と比較して 2 倍以上になっています。GetCodec.s は、昨年 12 月のレポート でご紹介した GetCodec.r の亜種であり、P2P-Worm.Win32.Nugg を通じて拡散する点もよく似ています。サイバー犯罪者は、ファイル交換ネットワークの Gnutella (P2P プログラムは LimeWire がよく使用される) を通じて P2P-Worm.Win32.Nugg の拡散を試行している模様です。このワームは他のマルウェアのダウンローダとしても機能しているため、ユーザにとってはより危険であると言えます。

新たにランクインした Packed.Win32.Krap.ag も注目されます。Packed ファミリーのほかのプログラムと同様に、この亜種もマルウェアのパッカーとして検知されます。このマルウェアは偽のアンチウイルスソフトウェア ( 「Rogue antivirus: a growing problem」) の形態をとり、毎回新しい亜種が発生するパッカーにより巧みに隠蔽されています。この手法が功を奏し、今回第 18 位にランクインしています。

オンラインゲームを狙ったトロイの木馬である Magania はランキングでのポジションを堅守しています。今回のランキングでは新しい亜種である Magania.ckqi がMagania.cbrt に代わって第19位にランクインしています。

インターネット上のマルウェアランキング

2 つめのランキングは、Web アンチウイルスの統計結果であり、インターネットの状況を反映しています。ランクインしているのは、Web ページで検知されたマルウェアおよび Web ページからのロードを試みたマルウェアです。


順位順位変動マルウェア名ダウンロード試行回数
1   0 Trojan-Downloader.JS.Gumblar.x  1714509  
2   1 Trojan-Downloader.HTML.IFrame.sz  189881  
3   新規 Trojan-Clicker.JS.Iframe.be  170319  
4   0 not-a-virus:AdWare.Win32.Boran.z  136748  
5   0 Trojan.JS.Redirector.l  130271  
6   新規 Trojan.JS.Ramif.a  115163  
7   1 Trojan.JS.Agent.aat  55291  
8   -2 Trojan-Clicker.HTML.Agent.aq  47873  
9   新規 Trojan.HTML.Fraud.r  47473  
10   -8 Trojan-Downloader.JS.Gumblar.w  41977  
11   新規 Trojan.JS.Iframe.dy  35152  
12   -5 Trojan-Downloader.JS.Zapchast.m  31161  
13   新規 Trojan-Downloader.JS.IstBar.cy  30806  
14   新規 Trojan-Clicker.JS.Iframe.u  30553  
15   リエントリ Trojan-Downloader.JS.Psyme.gh  30078  
16   新規 Trojan-Downloader.HTML.FraudLoad.b  29466  
17   新規 Trojan-Clicker.HTML.IFrame.ajn  29455  
18   新規 Trojan.JS.PrygSkok.a  27804  
19   新規 Packed.Win32.Krap.ag  26770  
20   -5 Trojan-Downloader.JS.LuckySploit.q  26175  

2 つめのランキングは、Web アンチウイルスの統計結果であり、インターネットの状況を反映しています。ランクインしているのは、Web ページで検知されたマルウェアおよび Web ページからのロードを試みたマルウェアです。

先月のレポートでご紹介した Gumblar の亜種による攻撃 は、11 月も継続されています。ただし、半年前の攻撃 (http://www.kaspersky.co.jp/news?id=207578773) と違い、今回はすべてのコンポーネント (ダウンローダ、エクスプロイトおよび実行ファイル本体) がかなりの頻度で更新されていることが特徴的です。

偽のアンチウイルスソフトウェアも、2 つ目のランキングで目立っています。偽のアンチウイルスの拡散方法の1つは、ユーザの PC へのダウンロードに Web サイトを使用するというものです。この Web サイトは同一のテンプレートを使って作成されており、関係しているサイバー犯罪者のグループ、パートナー、および使用されているプログラムも同一と考えられます。偽のアンチウイルスソフトウェアのダウンロード元となった Web ページのうち、ダウンロード試行回数が最も多かったページは Trojan.HTML.Fraud.r および Trojan-Downloader.HTML.FraudLoad.b として検知されています。これらのページから上記の Packed.Win32.Krap.ag もダウンロードされており、結果としてランキングに入っています。

新たにランクインしたほかのプログラムは、巧妙化および難読化のレベルこそ違いますが、これまでの傾向を踏襲したスクリプトダウンローダです。

11月の傾向

全体的に見て、11 月も先月までの傾向を踏襲していると言えます。サイバー犯罪者が最も頻繁に使用するマルウェアの拡散方法は、悪意あるスクリプト、エクスプロイトおよび実行ファイルを組み合わせる方法です。特に、ユーザの個人情報および資金の盗用を目的として使用されています。このようなマルウェアの代表的なものとしては、Trojan-PSW.Win32.Kates (Gumblar による攻撃は当初このマルウェアのダウンロードを目的として計画された)、スクリプトダウンローダやメール大量送信を使用して拡散する Trojan-Spy.Win32.Zbot、および偽のアンチウイルスソフトウェアが挙げられます。

また、テンプレートを使用して制作された Web サイトを利用して偽のアンチウイルスソフトウェアを拡散させる傾向も引き続き見られます。

また、サイバー犯罪者の間でパッカー (たいていはポリモーフィック型) が頻繁に使用されています。これは、マルウェア本体を大幅に改善することなく、アンチウイルスソフトウェア マルウェアによる検知を回避する目的で使われています。

さらに、昨年 12 月に検知された、マルチメディアダウンローダを使用して P2P ネットワーク経由でマルウェアを拡散させる方法も観測されています。

Web サイトを通じて最も多く感染の試みが観測された国

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マルウェアマンスリーレポート:2009年11月

Kaspersky Lab は、2009 年 11 月のマルウェアマンスリーレポートを発表します。
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