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Kaspersky、ウェブトラッキングサービスの現状を調査

2024年10月3日

~ 発生したウェブトラッキングの事象は年間387億件以上、ユーザー自身が利用中のプラットフォームやプライバシー保護にもっと関心を ~

[本リリースは、2024年9月24日にKasperskyが発表したプレスリリースに基づき作成したものです]

Kasperskyのコンテンツフィルタリング部門のリサーチャーはこのたび、Googleの各種サービスやMicrosoft、New Relicなど利用数が特に多いウェブトラッキングサービス25種類を対象にウェブトラッキングを分析しました。その結果、2023年7月から2024年6月までの1年間に発生したユーザーの行動データを収集するウェブトラッカーのインスタンスは387億件以上に上り、1日当たり平均約1億610万件だったことが明らかになりました。ほとんどのトラッキングサービスは大手IT企業によって運営されており、各社にはユーザーデータを保護し漏えいを防ぐ強いモチベーションがありますが、最終的にはユーザー自身がデータセキュリティの責任を持つべきであり、使用するプラットフォームを意識したり、プライバシー保護のための対策を講じたりする必要があります。

ウェブトラッキングでは、ユーザーのオンライン行動に関するデータを収集して保存し、分析を行います。収集されるデータには、デモグラフィックデータ、訪れるウェブサイト、各ページの滞在時間のほか、クリックやスクロール、マウスポインタ―の動きなどのデータも含まれます。これらのデータは、ヒートマップの作成などに利用できます。企業はこういった情報を活用し、ユーザー体験のパーソナライズ、ユーザーエンゲージメントの向上、より効果的なターゲティング広告の配信、さらにはオンラインサービスの成果の測定を行っています。

カスペルスキー製品には、ウェブサイト上のユーザーの行動をトラッキングする目的で設計された追跡要素の読み込みを防止する機能「Do Not Track(DNT)※1」が備わっています。この機能により、ウェブトラッカーによるデータ収集の状況を評価することができます。

当社のコンテンツフィルタリング部門のリサーチャーは、ウェブトラッキングの状況を分析するために、最も普及している25のトラッキングサービス、例えば、Alphabet Inc.の四つのサービス(Google Display & Video 360、Google Analytics、Google AdSense、YouTube Analytics)、MicrosoftのBing、New Relicのサービスなどを、DNTによって収集した匿名の統計データで分析しました。その結果、2023年7月から2024年6月までの1年間で、DNTは約387億2,555万件のデータ収集を検知し、ユーザーが情報を共有した件数は1日当たり平均約1億610万件に上ることが分かりました。

リサーチャーは、地域別トップ25のトラッキングサービスについても分析結果をレポートにまとめています※2。主な結果は次の通りです。

【日本】
トラッキングサービスを実施しているグローバル企業に加え、日本には国内でのみ人気のあるウェブトラッカーが存在します。Yahoo! Japan ウェブポータルは広く利用されており、そのトラッカーは8位で4.70%を占めています。また、Yahooのデジタル広告Yahoo Advertising は13位で2.35%です。
日本のトップ25には、Geniee(2.77%)、SMNのAdsp (1.35%)、MicroAd(1.18%)、Supership(1.05%)、LINE(1.04%)など、日本独自のトラッキングサービスも含まれています。トップ25のトラッキングシステムにおける日本企業の合計シェアは12.09%でした。

KL-WebTracking図:日本におけるウェブトラッキングサービス トップ25(期間:2023年7月~2024年6月、ソース:Kaspersky DNT統計データ)

【グローバル】
・分析したトップ25のトラッキングサービスのうち、アジアで最大のシェアを占めるのはGoogle Display & Video 360でした。南アジアではDNT機能が作動したケースの25.47%を、東アジア(日本と韓国を除く)では24.45%を同サービスが占めていました。シェアが一番少なかったのは独立国家共同体(CIS)の8.33%で、これは、現地のトラッキングシステムの方が普及しているためです。
・ユーザーの行動やキーワードを追跡してウェブサイトのトラフィックとパフォーマンスを最適化するGoogle Analyticsは、ラテンアメリカが最大のシェアで14.89%、次いで中東が14.12%でした。
・Google AdSenseトラッカーは、中東(6.91%)と南アジア(6.85%)での使用率が高く、シェアが低いのはオセアニア(3.76%)とCIS(2.29%)でした。
・このようなトラッキングシステムの存在は、ほぼ全ての地域で増加しています。特定の地域で減ったシステムもあれば、拡大したシステムもありますが、いずれもGoogleのサービスでした。このことから、Googleのユーザートラッキングが、他社製品をはるかにしのいで広く普及していることが分かります。
・YouTube Analyticsのシェアが特に高いのは南アジア(12.71%)と中東(12.30%)で、シェアが低いのは欧州(5.65%)と北米(4.56%)でした。
・Microsoftトラッカーのシェアが一番高かったのは中南米(3.38%)で、一番低かったのはCIS(0.68%)でした。Bingトラッカーはアフリカ(8.46%)での動きが目立ち、存在感が最も小さかったのはCIS(0.76%)でした。
・日本、韓国、ロシアなど、現地のインターネットサービスが高度に発達している地域では、現地のトラッキングシステムがトップ25位以内にランクインしているだけでなく、グローバルのサービスを上回っているケースもありました。

Kasperskyのコンテンツフィルタリング部門のセキュリティ&プライバシーのリサーチャー、アンナ・ラーキナ(Anna Larkina)は、次のように述べています。「トップ25のトラッキングサービスは、データ収集が少数の企業だけに限定されていないことを示していますが、情報を保存して処理する組織が多ければ多いほど、データ侵害のリスクは高くなります。とはいえ、ほとんどのトラッキングサービスは大手IT企業によって運営されているため、各社にはユーザーデータを保護し漏えいを防ぎ、自社の評判を守るという強いモチベーションがあります。最終的には、ユーザーが自身のデータセキュリティの責任を持つべきであり、使用するプラットフォームを意識したり、プライバシー保護のための対策を講じたりする必要があります」

■ 詳細は、Securelistブログ(英語)「Web tracking report: who monitored users’ online activities in 2023–2024 the most」でご覧いただけます。

※1 「Do Not Track(日本語名称:Webトラッキング防止)」機能は、WindowsとmacOSで有効です。既定では、当機能はオフになっています。
※2 各割合は、小数点以下第三位を四捨五入しています。

 

Kaspersky、ウェブトラッキングサービスの現状を調査

~ 発生したウェブトラッキングの事象は年間387億件以上、ユーザー自身が利用中のプラットフォームやプライバシー保護にもっと関心を ~
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Kaspersky について

Kasperskyは1997年に設立された、グローバルなサイバーセキュリティおよびデジタルプライバシーの企業です。これまでに10億台以上のデバイスを新たなサイバー脅威や標的型攻撃から保護しています。深い脅威インテリジェンスとセキュリティの専門知識を生かし、革新性に富んだセキュリティソリューションやサービスを提供することで、世界中の企業、重要インフラ、政府機関、そして個人のお客様を守っています。当社の包括的なセキュリティポートフォリオには、業界をリードするエンドポイント保護製品、専門的なセキュリティ製品とサービス、そして高度なデジタル脅威に対抗するためのサイバーイミューン(Cyber Immune)ソリューションが含まれます。当社は22万社を超える法人のお客様の重要な資産を守る力になっています。詳しくはwww.kaspersky.co.jpをご覧ください。

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