毎日インターネットを多用している人でも、SSIDという言葉を聞いたことがない人は多いでしょう。ましてや、それが何なのか知っている人となれば、さらに少ないはずです。ところが、SSID名はほとんどの人が日常的に目にして多用しているものです。この記事では、この言葉の意味、仕組み、そしてそれが重要である理由を説明します。
SSIDとは何か。なんのために使用するのか
SSIDとは「Service Set Identifier」の略で、ワイヤレスネットワークで重要な役割を果たす識別子です。基本的に、SSIDとは、ルーターを準備するときにWi-Fiネットワークに割り当てる名前のことです。たとえば、「The Smith Home」や「Coffee House Rewards」などです。ルーターはこのSSIDを使用してホットスポットを作成し、周囲にネットワークについてブロードキャストします。その後、SSIDはアクセスポイントとして機能するようになり、近くにあるノートPCやスマートフォンなどの端末に表示されて接続可能になります。端末をインターネットに接続しようとすると、利用可能なすべてのWi-Fiネットワークのリストが表示されます。ユーザーはSSIDを識別名として使用して、接続したいネットワークを特定します。通常、この識別子は端末内に維持されるため、後で同じネットワークに自動的に再接続できます。
注目すべきなのは、SSIDが単なるネットワーク名で、識別のために使われるだけだということです。ほとんどのWi-Fiネットワークでは、なんらかのセキュリティも有効にしており、一般にはWPA2やWPA3といったプロトコルが使用されます。したがって、ネットワークに接続するためにはパスワード(あるいはキー)が必要になります。
SSIDとWPA2はWi-Fiとどう関連しているのか
ほとんどのWi-Fiネットワークでは、接続のためにSSIDとセキュリティキーまたはパスワードの両方が必要です。WPA2(Wi-Fi Protected Access II)とは、ルーターとユーザーの端末の間でこのパスワードを使用して認証を行い安全に通信するための方法を定義するセキュリティプロトコルです。それぞれ機能が異なります。SSIDは、あるWi-Fiネットワークを同じエリアの別のネットワークと区別する方法を提供することで、ユーザーが正しいネットワークを接続先として選べるようにします。SSIDはただの名前です。一方、WPA2はワイヤレスネットワークのセキュリティの一般的な標準であり、セキュリティ認証プログラムでもあります。Wi-FiネットワークでWPA2セキュリティが有効になっている場合、ユーザーはインターネットに接続するために英数字のパスワードまたはキーの入力が求められます。
SSID番号の確認方法
SSIDとは何かを確認したところで、重要なのはユーザーが必要に応じてSSIDを見つけて、必要に応じて関連するWi-Fiネットワークにアクセスできるということです。新しいネットワークや、 名前が変更されていないネットワークの場合、 デフォルトのSSIDは通常、 ルーターに貼り付けられたシールに記載されています。このシールは多くのルーターでは底部の隅に貼られていますが、多くのネットワーク所有者は、SSIDを変更して自分が見つけやすい固有の名前にしています。
その場合、ネットワークのSSIDを確認したいユーザーは、自分の電子機器を利用する必要があります。あるネットワークのSSIDを把握するには、端末のWi-Fi設定を開いて現在接続しているネットワークを確認するのが一番簡単な方法です。これがローカルWi-FiネットワークのSSIDです。ただし、このSSID確認方法は、その端末で以前にそのWi-Fiネットワークを使用したことがある場合しか機能しません。
使用したことがないWi-Fiネットワークに接続しようとする場合、そのSSIDを知る最も簡単な方法は、ルーターの持ち主に尋ねることです。これが最も当てはまるのは、誰かの家にいるときやカフェのような公共スペースに滞在しているときです。
SSIDが表示されないときにすべきこと
利用可能なワイヤレスネットワークのリストにSSIDが見当たらず、接続したいWi-Fiネットワークを見つけられないことがあります。このような場合は、次のようにさまざまな理由が考えられます。
- SSIDが公開されずに隠されている(所有者がそのように設定した)
- デバイスが範囲内にない
- ルーターが正しく機能していない
- デバイスのネットワークアダプターが機能していないか、Wi-Fiがオフになっている
問題を解決するためには、次のことを行う必要があります。
- SSIDが隠れていないかチェックする
- ルーターを再起動する
- ルーターを初期設定に戻す(これにより、SSIDがデフォルトの名前にリセットされます)
- ネットワーク名を検証する
- ルーターに近づくか、Wi-Fi中継機を使用する
- デバイスを再起動してドライバーをアップデートする
- SSIDホットスポットをブロックしている物体や機器がないことを確認する
SSID名を選ぶ
ほとんどのルーターメーカーは、自社製品にデフォルトのSSIDを設定します。このSSID名は通常、ルーターに貼られたシールに印字されています。また、最初にWi-Fiネットワークを設定するときにルーターがブロードキャストします。一般に、Wi-FiネットワークのデフォルトのSSIDには、「Linksys-3486」や「TP-LINK-3975」のように、ルーター製造元のブランド名とランダムな数字が含まれています。
多くのネットワーク所有者がSSIDを独自に設定することを好むのは言うまでもありません。ユニークなSSIDにすると、接続するWi-Fiネットワークを利用者が簡単に見つけられるようになります。また、多くの企業は、これをブランディングの絶好の機会と捉えて、見つけやすいSSID番号を考案しています。たとえば、スターバックスのすべての店舗ではWi-FiネットワークのSSID名に「Starbucks」という単語が入っています。
SSIDを変更する
Wi-FiネットワークのSSID名を変更することは絶対に必要ではありませんが、変更することでメリットがあるケースもあります。たとえば、集合住宅に住んでいる場合は、複数の住人が同じブランドのルーターを持っている可能性があります。SSIDが非常に似ているため、正しいネットワークに接続しようとすると混乱が生じるかもしれません。Linksysで始まるSSIDの中から1つを選ぶのではなく、「The Smith Home」(スミス家)や「The Corner Café」(コーナーカフェ)のようにネットワークの所有者にとって意味のある固有の名前をつけることで、ネットワークが非常に識別しやすくなります。
新しいSSIDを設定するには、WebブラウザーとルーターのIP(インターネットプロトコル)アドレスを使ってルーターの設定インターフェイスにアクセスできることが重要です。
その後は次の手順に従うだけです。
- そのルーターのIPアドレスを確認します。通常はルーターに貼られたシールに記載されています。
- コンピューターまたはスマートフォンを使用してルーターのネットワークに接続します。
- SafariやChromeなどのインターネットブラウザーを開きます。
- 管理者のログイン情報を使用して、ルーターのWebインターフェイスにログインします。通常はルーターのシールにデフォルト値が記載されています。
- ルーターのWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)またはWi-Fiの設定に異動します。
- SSIDフィールドを探します。デフォルトのSSID名が表示されているはずです。
- 使いたいSSID名を入力します。
- 設定を終了する前に、変更を必ず保存してください。
数分以内に、デバイスの接続可能ネットワークのリストに新しいSSID(Wi-Fiネットワーク名)が表示されるようになります。表示されるまでリストを数回更新する必要がある場合や、一時的に新旧のSSID名が同時に表示される場合があります。
Wi-FiネットワークでのSSIDのセキュリティ
当然ながら、Wi-FiネットワークのセキュリティやSSIDのセキュリティについて懸念を抱く人もいます。多くのネットワーク所有者や合法的な企業がWPA2セキュリティ構成を使用し、「キー」(パスワード)を設定しているのはそのためです。たとえば、ネットワークの所有者がルーターのブランド名を含むデフォルトのネットワーク名のままにしている場合、ハッカーにとってルーターの製造元と型番を特定するのは簡単です。それが既知の攻撃に対して脆弱であれば、そのネットワークを通じて悪意のあるウェブサイトにユーザーをリダイレクトし、オンラインアクティビティを追跡したり個人データを盗んだりして危険にさらすことができます。その他に重要なこととして、WPA2暗号化を採用していないネットワークでは、個人データを含むすべての通信が近くにいる攻撃者に傍受されてしまう可能性があり、ユーザーが危険にさらされます。
SSID名を変更し、パスワードを設定するだけでは、Wi-Fiネットワークを保護するには不十分かもしれません。多くのハッカーは、ブルートフォース攻撃や辞書攻撃を使ってネットワークにアクセスし、個人情報を盗むことができます。
ただし、独自のSSID名にすることで、公にブロードキャストされたネットワークにある程度のセキュリティを提供できます。一部のハッカーは、正規のWi-Fiネットワークとよく似た名前の偽のWi-Fiネットワークを設定し、疑うことを知らないユーザーを騙して偽のWi-Fiネットワークを利用するように仕向けます。これがよく起こるのは、空港、カフェ、レストランなど、無料Wi-Fiを利用できることを多くの人が期待する公共の場です。このような事態を最小限に抑えるため、多くの合法的な企業では、独自のSSID名を設定し、接続にあたってパスワードを要求しています。さらに、デフォルトのSSIDをルーターに設定したままにしておくと、悪意のあるユーザーがルーターの製造元や型番を突き止め、ハッキングして悪意のあるWebサイトにユーザーをリダイレクトしたり、そのネットワーク上でのオンラインアクティビティを追跡したりすることが可能になります。
ネットワークのSSIDにかかわらず、インターネットユーザーがオンラインでのプライバシーとセキュリティを確保するためにできることの1つは、カスペルスキー VPN セキュアコネクションのような強力なVPNサービスを一貫して使用することです。
SSIDネットワークを非表示にするべきか?
一部の人にとって、これに対する明白な答えは、Wi-FiネットワークのSSIDを非表示にすることでしょう。結局のところ、ハッカーがネットワークを見つけられなければ、アクセスすることはできないのです。とはいえ、SSIDは隠されるために作られたものではありません。その目的は、ユーザーに見つけてもらって、特定のWi-Fiネットワークにアクセスできるようにすることです。さらに、悪意のあるユーザーが様々なプログラムを駆使すれば、非表示のSSIDを発見することができます。
同じSSID名のネットワークが複数ある場合はどうなるか
インターネットユーザーの多くは、2つのネットワークのSSIDが同じであるかよく似ている場合、それが何を意味するのか疑問に思うかもしれません。すぐに思いつくのは、SSIDとルーターが複数あると大きな混乱を引き起こすということです。自宅などのプライベートな環境では、他のユーザーがネットワークに接続しようとしても、パスワードが正しくないので拒否されます。これがよく起こるのは集合住宅や住宅地で、複数のネットワークで同じブランドのルーターが使われており、しかもWi-FiネットワークのデフォルトSSIDが変えられていない場合です。さらに、2つのネットワークで同じ名前とセキュリティ設定を使用している場合、ほとんどのデバイスは、電波強度の強いネットワークか、以前に優先ネットワークに設定されたネットワークに自動的に接続します。
より油断のならないシナリオとして、ハッカーが正規のWi-Fiネットワークを偽装するケースがあります。この場合、接続しようとしている正規のネットワークと同じ名前か似た名前の公開ネットワークにユーザーが誤って接続してしまい、ハッカーの悪意のある行動の標的となってしまいます。
SSIDはワイヤレスネットワークの要
SSID名は、ワイヤレスネットワークが機能するうえで非常に重要です。これがなければ、ユーザーはiPhoneやノートPCでWi-Fiホットスポットを探し、インターネットに接続することができません。多くのルーターにはデフォルトのSSID名が付いていますが、多くの所有者は自分のネットワークをより認識しやすくするためにSSID名をカスタマイズすることを選択しています。ただし、SSIDやルーターが複数存在するような環境では、ユーザーは正しいSSIDに接続するように注意を払う必要があります。SSIDはそれ自体ではセキュリティ対策とはなりません。間違ったSSIDを選択して、意図しないネットワークに接続すると、デバイスのプライバシーとデータのセキュリティが損なわれる可能性があります。
よくある質問
SSID とはなんですか?
SSIDは「service set identifier」つまり「サービスセット識別子」の略称で、ワイヤレスネットワークに与えられた公開名に過ぎません。ネットワークのルーターが自身のSSIDを一般にブロードキャストすることで、ユーザーが自分の電子機器で必要なネットワークを簡単に見つけて接続できるようになります。重要なのは、SSIDが異なるWi-Fiネットワークを区別する方法に過ぎず、それ自体でセキュリティを提供するものではないということです。
自分のSSIDはどこで見つけられますか?
多くの場合、SSID名はWi-Fiネットワークのルーターで見つけられます。一般には、ルーターの下部に、ネットワーク名とパスワードが記載されたシールが貼られています。ただし、これはデフォルトの設定であり、多くの所有者は、ルーターとネットワーク設定を編集して独自のSSID名とパスワードを設定することを好みます。この場合、ユーザーが該当のネットワークにアクセスするためには、所有者に認証情報を聞く必要があるかもしれません。もしもユーザーが以前にデバイスをネットワークに接続したことがあれば、デバイスのネットワーク設定を確認するだけで接続できる可能性があります。SSID名はデバイスが接続するネットワークです。
Kaspersky Endpoint Securityは、2021年に企業のエンドポイントセキュリティ製品として最高のパフォーマンス、保護、および使いやすさで3つのAV-TEST 賞を受賞しました。すべてのテストで、Kaspersky Endpoint Securityは企業にとって優れたパフォーマンス、保護、および使いやすさを示しました。
関連製品とサービス: