メールに関連したサイバー攻撃やフィッシング詐欺が世界中でまん延している現状に対し、一般的なユーザーのサイバーセキュリティ対策は、そこまで安全ではありません。デジタル上のやり取りが日常生活に必要不可欠なものとなった現代では、個人情報の保護がかつてないほど重要になっています。私たちの個人情報が盗み見されないよう保護し、やり取りの安全性とプライバシーを確保するための強力な手法として、メールのマスキングが登場しました。メールのマスキングとは具体的にはどのようなものなのでしょうか。私たちがまとめたこの包括的なガイドでは、メールのマスキングが何であるかと、それがもたらすメリット、実装方法、およびネットワーク内の既知の信頼できるユーザーとやり取りする際にメールアドレスのマスキングを解除する方法を網羅しています。
自分のメールアドレスを隠す方法：メールのマスキングとは
メールのマスキングとは、現在のメールアドレスの代わりに、識別不可能なもの、つまり「マスキング」されたものをデジタル処理で表示することです。このプロセスにより、実際のメールアドレスが受信者やオンラインアカウントに表示されなくなるため、ユーザー（本来の送信者）の個人情報とプライバシーが保護されます。メールのマスキングは、マスカレードやメールのエイリアスと呼ばれることもあります（ただし、マスキングされたメールアドレスはソフトウェアによってランダムに生成され、ユーザーが選択するものではないため、エイリアスとは若干異なります）。オンラインでのプライバシーを保護する手段として、古くから存在しますが、あまり活用されていない手段です。
この手段は、たいてい、複数のランダムなメールアドレスを作成するメールマスキングサービスによって提供されます。マスキングされたメールアドレスに送信されたメールやメッセージは、実際のメールアドレスの受信トレイに直接送信されます。同様に、ユーザー用に作成されたマスキングされたメールアドレスは、他のオンラインアカウント（オンラインアカウントごとに1つが望ましい）のログインIDとして使用して、ログインすることができます。
メールのマスキングのメリット
CISA（米国独自の全米を対象とした機関である、サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁）の報告によると、米国人の成人の47％がサイバー攻撃によって個人情報が漏えいしており、さらに毎日少なくとも60万件のFacebookアカウントがハッキングされているとのことです。また、Forbes誌のフィッシングに関する統計レポートによると、（主にユーザーのメールアドレスを介して行われる）フィッシング攻撃は、最もまん延しているサイバー犯罪の1つであり、2022年に報告されたフィッシング攻撃は5億件以上（2021年に報告された攻撃の件数の2倍以上）にのぼるとのことです。
このような深刻でショッキングな数字を踏まえると、すべての個人ユーザーと事業主は、メールのセキュリティを最も重要なものとして考えなければなりません。幸運なことに、メールアドレスと、それによってオンライン上に公開される情報のプライバシーを保護する、シンプルで非常に効果的な方法があります。それがメールのマスキングです。
したがってメールのマスキングには多くのメリットがあります。結果的にユーザーは自身のデジタル情報をより安全かつセキュアな状態に保つことができます。
- 侵害やアカウントの乗っ取りの可能性を減らす：マスキングされたメールアドレスは、基本的にはランダムな転送用アドレスです。ユーザーに関する個人情報は含まれておらず、通常のメールアドレスのようにメールクライアントを使用して「アクセス」することはできません。これは、機密性の高い個人情報や財務情報への侵入経路となる可能性があるビジネス用メールアドレスで特に有効です。
- スパムメールとフィッシング攻撃のインシデントの数を大幅に減らすことができる：多くのマスキングサービス（サードパーティのサービスまたはご利用のメールクライアントで提供されるサービス）で、すべてのマスキングされたメールアドレスと、それを経由するメールの送信経路を用意に管理することができます。これにより、スパムメールを容易にブロックしたり、転送用アドレスにスパムやフィッシングの試みが殺到するようになった場合に、その転送用アドレスを簡単に無効にしたりすることができます。さらなるメリットとして、追加のメールを送信したり手間のかかるフィードバックフォームに記入したりすることなく、迷惑な送信者からメールが送信されないようにすることもできます。
- オンライン上のさまざまな場面で利用できる：マスキングされたメールアドレスは、（個人用アカウントかビジネス用アカウントかを問わず）不明な宛先にメールを送信する場合、外国にいる場合、メールアドレスを使用して1回限りの接続や1回限りの購入をする場合、新しいデジタルサービス（ニュースレター、販売促進情報、コンペ、フォーラム、購読など）に登録する場合、オンラインで定期的な購入を行う場合、ソーシャルメディアのプロファイルを使用する場合、公衆Wi-Fiネットワークを使用する場合に、いつでも個人用アドレスを隠すために使用することができます。
実際に公衆Wi-Fiネットワークを使用する場合は、コンピューターシステムがビジネス用でも個人用でも、カスペルスキーのVPN接続ソフトウェアを使用することを推奨します。VPNを使用することで、暗号化されたデジタルトンネルを経由してリモートから会社の資産に接続することができ、外出先の保護されていないインターネット接続の潜在的な危険からシステムが保護されます。VPNの仕組みについて詳しく知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
メールのマスキング方法
メールアドレスをマスキングする方法は主に、メールのエイリアスを使用する方法、第2の（または偽の）アカウントを使用する方法、専用のメールマスキングサービスまたはご利用のメールクライアントを使用してマスキングする方法の3つがあります。
メールのエイリアスの使用
メールのエイリアスは、転送用メールアドレスの一種で、多くのメールクライアントで提供されているデジタルサービスです。このサービスにより、ユーザーは自分のプライベート用メールアドレスをオンライン上に公開することなく、エイリアスアドレスを経由して通常の受信トレイでメールを受信することができます。通常はユーザーがエイリアスアドレスを選択します。そしてメールクライアントが、ユーザーアカウントで作成可能なエイリアスの数を決定します。これは、1つの受信トレイの多様化を図る優れた方法ですが、一般的にスパムメールの削減や制御、オンラインでのプライバシーの保護に関しては、汎用性がなく、効果的な方法ではありません。また、「代理送信」機能を使用すると複数のエイリアスを追跡することが困難になり、エラーが発生した場合、受信者を混乱させる可能性があります。メールのエイリアスは、従来の転送用アドレスとは少し異なります。従来の転送用アドレスは（本来のメールの受信トレイに送信された）メッセージを転送用メールアドレスの受信トレイに自動的に配信するのに対し、メールのエイリアスは完全に異なるメールアドレスであり、このアドレスから本来のメールの受信トレイにメッセージが転送されます。
第2のアカウントの使用
個人用メールアドレスを隠す最も簡単な方法の1つは、単純に新規連絡先への初回の連絡にはすべて第2のメールアカウントを使用することです。この方法で、個人用メールアドレスにメッセージを転送する前に送信者とWebサイトをスクリーニングすることができます。ここで、第2のアカウント/偽のアカウントのオンラインプロファイルに偽の個人情報を入力することを忘れないでください。また、第2のメールアドレスを選ぶ際には、実際のメールアドレスや個人情報に関連する識別情報や手がかりが含まれないようにしましょう。第2のスクリーニングアカウントのメリットは、覚えておく必要があるログイン情報が他の1つのアカウントだけであることと、比較的簡単にコストをかけずに作成できることです。ただし、マスキングサービスのように第2のアカウントを複数使用する場合は、さまざまなアドレスを作成し、それらをすべて追跡することは、複雑で時間がかかる作業となります。
メールマスキングサービスの使用
専用のメールマスキングサービス（サードパーティまたは一般的なメールクライアントが提供するサービス）を使用すると、機密性の高い個人データを追跡することが非常に困難な暗号化されたベクトルが複数提供されるため、オンラインアカウントのセキュリティを向上させるのに最適な方法の1つです。メールマスキングサービスの大きなメリットの1つは、すべてが管理されて、本来の個人用メールアドレスに転送されるため、メールのスクリーニングを行うために別のアカウントにログインする必要がないことです。多くのサービスで、実際にオンラインアカウントの情報を自動入力する機能やメールを管理するための追加のツールが提供されているため、複数のランダム化されたメールアドレスとそれに対応するアカウントを覚えておく必要がなく、すべてのプロセスが便利で効率的です。さらに、多くのメールマスキングサービスで、ブラウザーとモバイルの拡張機能が提供されているため、この種別のメールセキュリティを追加することも、オンラインフォームの自動入力を利用することも簡単です。
自分のメールのマスキングを解除するには
検証済みのWebサイト、一般に公開されるサービス、または連絡先の信頼できる受信者のためにメールアドレスのマスキングを解除するには、お使いのメールマスキングサービスまたはクライアントにアクセスし、自分のプライベート用メールアドレスを受信者に表示できる適切なオプションを選択したり、送信者と受信者を承認したりといった簡単な操作を行うだけです。これを行う方法は、利用するサービスによって異なりますが、ほとんどの信頼できるサービスでは、豊富な説明やドキュメントがオンライン上で公開されています。
詐欺メールの「マスキングの解除」のプロセスはこれよりもはるかに複雑ですが、システムに害を及ぼすそうとしているメールアドレスかどうかを判断するには、@domain.comの情報を調べることが最も有効な手段です。このドメインをGoogleで検索しても、正規の会社や親ドメインにリンクしていないと思われる場合は、メールを開かずにその内容を削除し、脅威またはスパムとして登録するようにしましょう。詐欺メールがマスキングソフトウェアを使用してシステムに侵入している疑いがある場合は、どのようなケースでも、それを検知して対処するために、信頼できる専用のアンチウイルスプロバイダーをシステム上で稼働させることがベストプラクティスです。
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メールのマスキングに関するよくある質問
マスキングされたメールとは何ですか？
マスキングされたメールアドレスとは、デジタル処理で生成された識別不可能なメールアドレスです。メッセージやオンラインプロファイルのユーザーの実際のメールアドレスの代わりに自動的に表示されます。メールのマスキングは、オンラインでのプライバシーを保護する手段として、古くから存在しますが、あまり活用されていない手段です。
メールのマスキングの例を教えてください。
自動生成された一意のランダムな識別子を使用したケースのマスキングされたメールアドレスの例としては、元のメールアドレスがmycompany@test.comの場合、マスキングされたメールアドレスは43534ffe345342@maskservice.comのようになります。マスキングサービスが提案して生成するマスクにより、ユーザーの元のメールアドレスは完全に隠されます。
メールのエイリアスとは何ですか？
メールのエイリアスとは、ユーザーがエイリアスのメールアドレスを作成することができるメール転送の一種です。そのメールアドレスに送信されたすべてのメッセージが、そこからユーザーの個人用メールアドレスに転送されるため、メールをスクリーニングすることができます。通常はユーザーがエイリアスアドレスを選択します。そしてメールクライアントが、作成可能なエイリアスの数を決定します。
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