最近のほとんどのブラウザーでは、シークレットモード(閲覧したWebページの記録を残さないブラウザー設定)を使用することができます。しかし、シークレットモードは閲覧時のプライバシーを向上させますが、100%のプライバシーを保証するものではありません。シークレットモードのメリットとデメリット、使用する際の安全性について説明します。
シークレットモードとは何か?何を隠すのか?
シークレットモードとは、Webブラウザーのプライベートウィンドウのことです(使用するブラウザーによって呼び名が異なります)。基本的に、シークレットモードは閲覧履歴が保存されないようするための仕組みです。通常、Webページへのアクセス時には、そのページで必要なテキスト、画像、Cookieがコンピューターにローカルに保存されます。さらに、入力された検索文字列やフォームフィールドへの入力内容は、フォームへの自動入力機能の候補として保存されることがあります。シークレットモードでは、これらのデータは保存されないか、ブラウザーウィンドウを閉じた時に消去されます。
シークレットモードは、自分のデバイスにアクセスできる可能性がある他人から自分のインターネットでの活動内容を隠す働きしかしません。インターネットサービスプロバイダー、雇用主、学校、追跡ソフトウェアは、あなたがオンラインで何をしているか、どのWebサイトにアクセスしているかを依然として確認できる可能性があります(VPNを使用している場合を除く)。
シークレットモードのメリット
シークレットモードの主なメリットは次の通りです:
共有デバイスでのプライベートブラウジング
共有デバイスを使用している場合は、シークレットモードが最適な選択肢です。シークレットモードを使用すると、そのデバイスを使用する他のユーザーがあなたの閲覧履歴にアクセスできなくなるからです。シークレットセッションを終了するたびに、ログイン情報、Cookie、その他の一時的な閲覧ファイルは削除されます。これはたとえば、同じデバイスを使用する他のユーザーがあなたと同じサイト(ソーシャルメディアサイトなど)へアクセスした場合、あなたのアカウントがログアウトされ、第三者による不正アクセスを防止できることを意味します。
一部の形式のインターネットトラッキングを防止
シークレットモードの使用時は、ブラウザーセッションが終了すると、ブラウザーはデバイスからCookieを消去します。これにより、企業によるユーザーの追跡を防止し、ターゲティング広告やダイナミックプライシングの対象となる機会を減らすことができます。(ダイナミックプライシングとは、企業がユーザーのデータを参照し、そのユーザーが以前に閲覧した商品の価格を値上げすることを指します)。ただし、すべてのブラウザーが既定でサードパーティのCookieをブロックしているわけではありません。そのため、Cookieがデバイスに保存されなくても、閲覧したサイトによって活動が追跡される可能性があります。
複数のアカウントを同時に使用することが可能
同じWebサイトに複数のアカウントを登録している場合、シークレットモードで複数のアカウントに同時にログインすることができます。これは、1 つのアカウントからログアウトすることなく複数のソーシャルメディアアカウントを表示したい場合に便利です。
拡張機能を使用しないブラウジングが可能
ブラウジング時にブラウザー拡張機能やツールバーを使用している場合、シークレットウィンドウを開くと、拡張機能やツールバーに邪魔されることなくすぐに検索できます。
シークレットモードのデメリット
メリットがあるとはいえ、シークレットモードはインターネット上の活動をすべて完全に隠せるわけではありません。そのため、「プライベートブラウジングではどの程度プライバシーが保護されるのか?」という疑問が湧くかもしれません。シークレットモードのデメリットは次の通りです:
トラッキングを完全に防ぐことはできません
シークレットモードはオンライン上でプライバシーを向上させますが、インターネットトラッキングから完全にユーザーを保護することはできません。シークレットモードを使用していても、Webサイトへアクセスした時点の位置情報、ブラウザー、OS、その他の情報など、ユーザーに関するデータを第三者が収集することは可能です。一部のブラウザーでは、シークレットモードではサードパーティのCookieがブロックされます。Cookieがブロックされないブラウザーでは、ブラウザーでの活動がCookieの使用により追跡され、ターゲティング広告やダイナミックプライシングの対象とされる場合があります。さらに、シークレットモードを使用しながらオンラインアカウントにログインした場合、サードパーティのWebサイトや広告主がシークレットモードの検索履歴をデジタルフットプリントにリンクさせる手助けになることがあります。
IPアドレスは他人から見られる状態のままです
シークレットモードでは、デジタルフットプリントの重要な部分であるIPアドレスを隠すことはできません。IPアドレスを隠したいインターネットユーザーは、代わりにVPN(仮想プライベートネットワーク)を使用する必要があります。
インターネット上での活動は秘匿されません
シークレットモードのみを使用する場合、インターネット上の活動を隠すことができるのは、自分のデバイスを使用する他のユーザーからのみです。あなたのデバイスを使用する他のユーザーがあなたの閲覧履歴を見ることはできなくなりますが、次に挙げる第三者からは見られる可能性があります:
- インターネットサービスプロバイダー(ISP):インターネットサービスを提供する企業は、ユーザーがアクセスしたサイトを把握しています。たとえば法執行機関から要請があった場合など、必要であればその情報は外部に開示されます。
- Webサイト:シークレットモードを使用している時でも、ユーザーのISPはそのIPアドレスをアクセスしているWebサイトと共有しています。
- 学校や会社のネットワーク: 学校や会社のネットワークを使用している場合、シークレットモードを使用していても閲覧履歴が表示されます。
- ログインするWebサイト: シークレットモードでFacebookやX(旧Twitter)などのWebサイトにログインすると、匿名性は失われます。こうしたWebサイトは、ユーザーのデータを他のWebサイトと共有することもあります。
サイバー脅威からは保護されません
シークレットモードはユーザーのオンライン上でのプライバシーを向上させますが、フィッシング、マルウェア、偽のWebサイトなどのサイバー脅威から保護することはできません。
簡潔に言えば、シークレットモードの主なメリットは、共有デバイスを使用する他の者による閲覧履歴の覗き見を防ぐことです。しかし、オンラインでのプライバシーをより確実に保護したいのであれば、VPNを使用する必要があります。
シークレットモードは安全か?
メリットとデメリットを考慮すると、「シークレットモードは安全なのか?」という疑問が当然出てきます。シークレットモードは使用しても安全ですが、プライバシーを完全に保護してくれるブラウジングが可能になるわけではない、というのが答えです。シークレットモードの使用時に、インターネットサービスプロバイダーやアクセスしたWebサイトから、ブラウジングの活動が完全に不可視になることはありません。また、シークレットモードを使用していても、個人アカウントにログインしたり、WebサイトがあなたのIPアドレスと身元に関する情報を関連付けたりすると、追跡される可能性があります。
また、あなたのデバイスを使用する第三者があなたの閲覧履歴を見ることは防止できますが、ハッキング、身元情報の窃取、サイバー犯罪者が実行するその他の犯罪行為を阻止することはできません。
シークレットモードでVPNのプライバシー保護性能を向上
VPN(仮想プライベートネットワーク)を使用すると、シークレットモードよりもはるかに高いレベルでオンライン上のプライバシーを保護することができます。基本的な違いを述べると、シークレットモードによるプライバシー保護は自分のデバイスを使用する可能性がある人物に対してのみ有効ですが、VPNによる匿名化はインターネット上のあらゆる第三者に対して有効です。
この違いは、ブラウザー自体にオンラインでの行動を非公開にする機能がないために生じます。プライバシーをより高いレベルで保護するには、接続にも注意を払う必要があります。VPNを使用すると、インターネット接続が匿名で確立され、IPアドレスが不可視になるため、オンライン行動の第三者による追跡を防止するには最適の選択肢です。
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パスワードマネージャーでオンラインの安全性をさらに向上
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シークレットモードに関するFAQ
シークレットモードとは何ですか?
シークレットモードは、閲覧履歴がデバイスに保存されないようにするブラウジング機能です。これにより、自分のデバイスを使用する他のユーザーから、自分のインターネットセッションを見ることができなくなります。「シークレットモード」という言葉は Google Chrome によって作られましたが、他のブラウザーにも同様の機能があり、「プライベートブラウジング」や「プライベートモード」と呼ばれることもあります。
シークレットモードは安全ですか?
シークレットモードは安全に使用できますが、プライバシーを完全に保護できるわけではあえりません。シークレットモードの使用時は、閲覧履歴はデバイスに保存されず、そのデバイスを使用する他の誰からも見えなくなります。しかし、インターネットサービスプロバイダー、検索エンジン、アクセスしたWebサイトなどの第三者は依然として、その閲覧履歴を確認することが可能な状態です。また、シークレットモードでは、フィッシング、マルウェア、ウイルスなどのサイバー脅威からは保護されません。
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