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スマートホームを理解する:居住空間のセキュリティの確保

タブレットでスマートホームを操作する女の子

デバイスが相互に接続され、デジタルによる利便性が普及した時代において、スマートホームという概念が人々のライフスタイルを一変させつつあります。スマートホームは、サーモスタット、照明、セキュリティカメラ、さらにはキッチン家電など、各種のデバイスや家電を一元管理し、より優れた管理、利便性、エネルギー効率を実現します。しかし、利便性の向上と同時に、重大な懸念も存在します。それが、サイバーセキュリティです。

スマートホームとは?

スマートホームとは、インターネットを使用して遠隔操作できる機器やシステムが配備された住宅のことです。これらの機器は通常、セントラルハブやスマートフォンのアプリを介して機器同士やユーザーと通信します。これらのデバイスをすべて接続することで、自宅の様々な設備を簡単にコントロールしたり自動化したりすることができます。

スマートホームの仕組み

スマートホームは、デバイスやシステムをネットワークで接続し自動化することで機能します。ユーザーは、家電やデバイスのコントロール、照明のスイッチのオン・オフ、温度の変更など、あらゆる動作を1つのデバイスから実行することが可能になります。その仕組みは次の通りです:

  1. 接続性:スマートホーム機器には、センサー、プロセッサー、通信技術(Wi-FiやBluetoothなど)が搭載されており、セントラルハブや他の機器と接続することができます。このセットアップにより、デバイス同士が通信し、データを共有するための家庭内ネットワークが形成されます。
  2. 一元管理:多くのスマートホームセットアップでは、スマートスピーカーやスマートフォンのアプリなど、セントラルハブやコントローラーを使用します。このハブはコマンドセンターとして機能し、すべてのデバイスをリモートで管理できます。ハブを介して、設定の微調整、タスクのスケジュール、アラートの受信ができます。
  3. 自動化:スマートホームは、設定した条件に基づいて自動的に動作します。たとえば、ユーザーの帰宅を感知してサーモスタットを調節したり、誰もいない時に照明を消したりします。
  4. 連携:スマートデバイスは多くの場合、他のサービスと連携してセキュリティや効率性を向上させることができます。たとえば、スマートセキュリティカメラとドアベルを連携させれば、より高度なセキュリティシステムが完成します。
  5. データ処理と分析:スマートホームシステムは、センサーからデータを収集し、ユーザーの生活環境や習慣をより的確に把握します。この情報は、エネルギー使用量の最適化、セキュリティの強化、ユーザー体験の向上に役立ちます。機械学習などの高度な技術は、パターンを予測し、判断を下すことができます。
  6. リモートアクセス:スマートホームの主な利点は、インターネットを使用してどこからでもすべてをコントロールできることです。仕事中でも休暇中でも、スマートフォンを使用してリアルタイムでチェックしたり、設定を調整したり、アラートを受け取ったりすることができます。

スマートホームのメリットとデメリット

スマートホームには、利便性やエネルギー効率の向上、セキュリティの強化、快適性の向上など、各種のメリットがあります。しかし、それらには特定の欠点や検討すべき事項も伴います。スマートホーム技術を採用するメリットとデメリットは次の通りです:

スマートホームのメリット:

  1. 利便性:スマートフォンや音声コマンドで各種のデバイスやシステムを遠隔操作することで、インターネットに接続できる環境であればどこからでも、作業の自動化、設定の調整、自宅の監視が可能です。これにより、家事や定型的な日常作業の管理に要する時間と労力を削減できます。
  2. エネルギー効率:サーモスタット、照明システム、家電製品などのスマートホームデバイスには、多くの場合、省エネ機能や自動化機能が搭載されています。スマートホームは、居住者の在宅状況、スケジュール、好みに基づいて使用率を最適化することで、エネルギー消費量を削減し、光熱費を節約することができます。スマートエネルギー管理システムによるリアルタイムの監視とデータ分析により、エネルギー利用に関する情報に基づいた判断が可能になります。
  3. セキュリティの強化:スマートホームセキュリティシステムは、リアルタイム監視、居住者の動きを検知する機能、遠隔アクセスなどの高度な機能を搭載しています。スマートカメラ、ドアベルカメラ、センサーを使用すれば、敷地内を監視し、不審な活動やセキュリティ侵害が発生した場合に即座に通知を受け取ることができます。スマートロックと警報システムを組み合わせて使用することで、侵入者を阻止し住宅のセキュリティを全体的に強化する、多層的な保護が構築されます。
  4. カスタマイズとパーソナライズ:スマートホームの技術によって、個人の好みやライフスタイルに合わせた高度なカスタマイズやパーソナライズが可能になります。照明や温度の設定、音楽の再生、スマート家電の操作など、ニーズに合わせてスケジュール、定型操作、環境をカスタマイズできます。こうした柔軟性が、ユーザーの好みに合った居住空間を演出します。

スマートホームのデメリット:

  1. プライバシーへの懸念:スマートホームデバイスは、ユーザーの習慣、好み、家庭内での活動に関する膨大な量のデータを収集し、処理します。ユーザーは当然この点について懸念を抱いています。Kasperskyが委託した調査によると、インターネットに接続されたホームセキュリティについて、ユーザーの56%が、ベビーモニターやペットモニターなどのスマートデバイスがハッキングされたり、自分たちをスパイするために使用される可能性を最も懸念していると回答しています。これは杞憂などではありません。適切に保護されていない場合、これらのデバイスで収集されたデータは、プライバシー侵害や不正使用の危険にさらされる可能性があります。スマートホーム技術をめぐり、機密情報への不正アクセスやデータ流出、盗撮や盗聴に対する懸念からプライバシーへの影響が指摘されており、規制の強化やセキュリティ対策の改善を要求する声が強まっています。
  2. サイバーセキュリティのリスク:スマートホームは、ハッキング、マルウェア、フィッシング、DDoS攻撃、IoTボットネット、中間者攻撃など各種の脅威に直面しています。接続デバイスやセンサーの急増により攻撃対象領域が広がり、スマートホームは侵入やデータ侵害の被害を受けやすく なっています。脆弱なパスワード、セキュリティが不十分なWi-Fiネットワーク、アップデートされていないソフトウェアなどの一般的な脆弱性はサイバー犯罪者に悪用され、スマートホームデバイスや機密データへの不正アクセスの原因となります。また、攻撃者はスマートホームデバイスを侵害してボットネットに参加させてDDoS攻撃を仕掛けたり、中間者攻撃によって通信を傍受したりすることもあり、セキュリティとプライバシーに深刻なリスクをもたらします。Kasperskyのリサーチャーは、2021年上半期に世界中でスマートデバイスに対するサイバー攻撃が15億件以上確認されたと報告しています。これは決して軽視できる問題ではありません。スマートデバイスやスマートホームの数が増加するにつれ、悪意のあるアクターによる攻撃も増加することは間違いありません。
  3. 複雑さと互換性の問題:スマートホームシステムのセットアップや設定は、特に技術に詳しくないユーザーにとっては複雑に感じられがちです。デバイスやプラットフォーム間の互換性の問題が発生し、その結果イライラしたり、不便を感じたりすることもあります。複数のデバイス用のアプリやインターフェイスを管理することのわずらわしさが混乱を招き、スマートホーム技術が約束するシームレスなユーザー体験を台無しにしてしまうこともあります。
  4. 接続性に大きく依存する信頼性:スマートホームデバイスの効果的な働きは、インターネット接続性と通信プロトコルに大きく依存しています。ネットワークの停止、技術的な不具合、サービスの中断が発生した場合、スマートホームシステムの信頼性が損なわれ、機能の中断やユーザーの利便性の低下につながりかねません。サードパーティのサーバーやクラウドサービスへの依存は、別の障害発生ポイントが存在することを意味します。ここでもデータセキュリティと可用性に関する懸念が生じます。
  5. コスト:スマートホーム技術の導入における大きな阻害要因の1つは、デバイスや設置にかかる初期費用です。スマートホームデバイスは従来のデバイスよりも高価になる傾向があり、特に複数のデバイスやシステムを住宅全体に実装する場合は、コストがすぐに膨れ上がります。スマートホームエコシステムの維持にかかる総費用は、クラウドサービスやプレミアム機能の継続的なサブスクリプション料金によってさらに増加する可能性があります。

スマートホームをコントロールする女性

スマートホームのセキュリティを確保する

スマートホーム技術には各種のメリットがありますが、新たに生じるサイバー脅威のリスクもあります。スマートホームのセキュリティを向上するための推奨事項は次の通りです:

  • Wi-Fiネットワークのセキュリティを確保する:Wi-Fiネットワークは、スマートホームの基幹となる部分です。強固で一意なパスワードを使用し、WPA2またはWPA3の暗号化を有効にして、セキュリティを確保してください。
  • 定期的なアップデート:すべてのスマートデバイスと関連アプリに、最新のファームウェアやソフトウェアアップデートを適用し、常に最新の状態を維持するようにしましょう。これらのアップデートには多くの場合、既知の脆弱性に対処するセキュリティパッチが含まれています。
  • 強力なパスワードの使用:スマートホームデバイスのアカウントを設定する時は、不正アクセスを防ぐために強力で一意なパスワードを使用しましょう。パスワードマネージャーを使用すれば、複雑なパスワードをセキュアに生成し、保存することができるので、使用を検討してみてください。
  • 二要素認証(2FA)を有効にする:可能な限り、スマートホームアカウントの二要素認証を有効にしておきましょう。パスワードに加えて、スマートフォンに送信されるコードなどによる2つ目の認証が必要になるので、セキュリティがさらに強化されます。
  • ネットワークをセグメント化する:スマートホームデバイスと、パソコンやスマートフォンなどの他のデバイスで、別々のネットワークセグメントを設定することを検討してみましょう。これにより、セキュリティ侵害の可能性を抑えたり、機密データへの不正アクセスを防止したりすることができます。
  • アプリの権限を見直す:スマートホームデバイスにアプリをインストールする時は、アプリが要求するアクセス許可をよく見直しましょう。アプリが適切に機能するために必要なデータと機能のみにアクセスを許可するようにしてください。
  • ネットワークを監視する:ネットワークトラフィックに異常や不審な活動がないか、注視してください。サイバー脅威を検知し予防するために、ネットワーク監視ツールやサービスを使用することも検討しましょう。
  • デバイスの物理的なセキュリティを確保する:スマートホームデバイスの物理的セキュリティの重要性を見落としてはいけません。これらのデバイスの設置場所がセキュリティ面で問題ないことを確認し、家の外から物理的にアクセスできる可能性のあるデバイスには、ロックや防犯カメラなどの物理的なセキュリティ対策を追加することを検討してください。
  • 設定を定期的に見直し更新する:スマートホームデバイスの設定や構成を定期的に見直し、最適なセキュリティが確保できるようにしてください。プライバシーやセキュリティに危険を及ぼす可能性のある不要な機能やサービスは無効にしましょう。
  • 必要性を検討する:ホームネットワークに新しいスマートデバイスを追加する前に、そのデバイスが本当に必要かどうか、セキュリティの優先順位に合っているかどうかをよく考えてみてください。不要なデバイスを追加すると、想定される攻撃対象領域が広がり、さらなるセキュリティリスクが生じる可能性があります。

これらの対策を実施し、常に注意を払うことで、スマートホームのメリットを享受しながら、サイバーセキュリティのリスクを低減することができます。スマートホームのセキュリティ保護は継続的な課題であることを念頭に置き、常に情報を入手し、予防策を講じることで、自宅とデータの両方の安全性とセキュリティを確保しましょう。

カスペルスキー製品でスマートデバイスのセキュリティを確保する方法

カスペルスキー プレミアムは、自宅のWi-Fiネットワークや接続デバイスを監視してセキュアに保護する機能を実装した、個人ユーザー向けのセキュリティ製品です。

スマートホームモニターのWi-Fiセキュリティチェック機能は、自宅のWi-Fiネットワークをスキャンし、セキュリティ設定が不十分であったり、Wi-Fiやスマートホームデバイスへの不正アクセスを誘発する可能性がある開放ポートが存在する場合にアラートを発します。

さらに、カスペルスキー プレミアムは、ネットワークセキュリティとは直接関係ありませんが、接続デバイスのパフォーマンスと保護を強化するツールも搭載しています:

  • Wi-Fiアナライザーは、近隣の無線ネットワークをスキャンします。これにより、最も混雑していないチャネルを選択して接続品質を向上させることが可能です。
  • ルーター用VPNは、ルーターを通過するすべてのトラフィックを暗号化し、Wi-Fiに接続されているすべてのデバイスを総合的に保護します。これは、セキュリティが内蔵されていない可能性のあるIoTデバイスにとって特に重要です。これにより、オンライン活動のプライバシーが維持され、外部の脅威から保護されます。 加えて、VPNを使用すれば、スマートテレビのコンテンツへのアクセスや、お住まいの地域では視聴できない番組や映画、サービスのストリーミング視聴ができるようになります。

また、カスペルスキー プレミアムを使用すれば、スマート家電製品だけでなく、スマートフォン、パソコンなども総合的にウイルスやマルウェアから保護することができます。

カスペルスキー プレミアムはペアレンタルコントロール、デバイス最適化ツール、個人情報保護などの機能も備えており、デバイス、個人データなどを包括的にセキュリティ保護して、安全なデジタルライフを実現します。

スマートホームとスマートホームセキュリティに関するFAQ

スマートホームデバイスにはどのような機能がありますか?

スマートホームデバイスは、住宅内の利便性、快適性、セキィリティの向上を目的とした幅広い機能を搭載しています。また、照明、温度、家庭用娯楽システム、セキュリティカメラ、ドアロック、キッチン家電製品、さらにはペットの自動給餌機など、自宅の各種の機器をコントロールすることができます。これらの機器を使用すれば、作業が自動的に実行されるように設定したり、外出時に自宅を監視したり、ライフスタイルに合わせて設定をカスタマイズしたりすることができます

スマートホームのメリットと発生しうる問題とは何でしょうか?

スマートホーム技術には多くのメリットがあります。離れた場所からデバイスをコントロールしたり、作業を自動化したりすることで、時間とエネルギーを節約でき、生活が便利になります。これらのデバイスは、遠隔監視やアラートなどの機能により、セキュリティを強化することもできます。それだけでなく、自宅の環境をより快適にし、利便性を向上させることも可能です。しかし、考慮すべき欠点もあります。たとえば、収集したデータからプライバシー侵害が発生する可能性があります。また、異なるデバイスやシステム間で互換性の問題が発生する可能性や、設定を適切にセキュリティ保護しないとサイバーセキュリティのリスクにさらされる可能性もあります。

なぜスマートホームが重要なのですか?

スマートホームの重要性は、利便性、効率性、セキュアな環境という点でメリットをもたらすことにあります。自宅のあらゆる場所を遠隔操作でコントロールしたり、監視したりできるので、生活の快適性と安心感が向上します。スマートホーム機器の使用により、省エネ効果と長期的なコスト削減が期待できます。また、リアルタイムの監視や潜在的なリスクに対するアラートを活用することで、住宅のセキュリティを強化することもできます。

スマートホームは必要ですか?

スマートホームが必要かどうかは、好みやライフスタイル、優先順位によって異なります。利便性、効率性、セキュリティを重視する場合は、スマートホームを検討する価値があるでしょう。ただし、スマートホームシステムの設定や維持に伴う潜在的なコストや複雑さと、スマートホームのメリットを天秤にかけてよく検討することが重要です。最終的には、スマートホーム技術に投資すべきかどうかは、あなたの固有のニーズや目標によって決まります。

スマートホームシステムはハッキングの対象となりますか?

スマートホームデバイスは、適切にセキュリティ保護されていない場合、他の接続システムと同様にハッキングを受けやすくなります。サイバー犯罪者はデバイスやネットワークの脆弱性攻撃を仕掛けて不正アクセスを試みる可能性があり、成功するとプライバシーやセキュアな環境が危険にさらされかねません。しかし、強力なパスワードを使用したり、デバイスを常に最新の状態にアップデートしたり、セキュリティで保護されたネットワークを使用するなどのベストプラクティスに従うことで、ハッキングのリスクを最小限に抑え、サイバー脅威からスマートホームを守ることができます。

最も普及しているスマートホームデバイスは何ですか?

最も普及しているスマートホームデバイスには、スマートスピーカー(Amazon Echo、Google Homeなど)、スマートサーモスタット(Nest、Ecobeeなど)、スマート照明システム(Philips Hue、LIFXなど)、スマートセキュリティカメラ(Ring、Arloなど)、スマートドアロック(August、Schlageなど)、スマートプラグ(TP-Link、Wemoなど)などがあります。これらのデバイスには幅広い機能があり、組み合わせて使用することで、あなたのニーズを包括的に満たせるスマートホームシステムの構築が可能になります。

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