ネチケットとは
ネチケットは、ネットとエチケットを組み合わせた合成語です。ネチケットとは、互いに尊重し合い、節度あるコミュニケーションを取れるようにするために示される行動基準です。
ネチケットは、しばしばインターネットルールとも呼ばれます。法的拘束力を持つものではなく、守ることが望ましいとされるマナーです。ネチケットは、ほとんどの場合、ネットで知らない人とやり取りする際に守るべきものとして示されます。ネチケットルールは、プラットフォームや参加者によって異なります。一般的に、ネチケットの種類や範囲を規定するのは、サイトや通信アプリの運営者です。また、これらの基本ルールの順守を監視し、違反があった場合に罰則を科すのも運営者の責任です。
ネチケット:一般的な行動基準
インターネットでやり取りする際には、PCやスマートフォンの向こう側にいる人を相手にしているということを肝に銘じる必要があります。現実の世界同様、ネットの世界にもマナーは必要です。好ましくない事態を招かないためには、ネチケットが重要です。
以下に示すのは、ネットでやり取りする際に守るべき、インターネットでの振る舞いに関する一般的な20の推奨事項です。
1. 現実の世界で守っている行動基準をネットでもしっかり守る
ネットでやり取りする際には、日常生活で守っているマナーを思い出すようにします。他人を侮辱したり、挑発したり、脅したりすることはやめましょう。チャット相手の意見を尊重し、建設的な意見を述べるようにします。ネットで誰かを侮辱したことで起訴される可能性があるということを覚えておいてください。
2. ネチケット:相手のことを考える
メッセージを作成する際には、PCの向こう側にいる人のことを考えます。相手にしているのは機械ではなく、生身の人間です。何をどう書くかについてもよく考えましょう。一度書き込んだことは、ネットに永遠に残ります! 送ったメッセージのスクリーンショットやコピーがすぐに作成され、後から自分のメッセージを削除したとしても、書き込みは残り続けるのです。
3. ネットでは、自分の最も良い面が伝わるようにする
ネットでのやり取りには、対面で話をする場合の現実世界ではあり得ない匿名性というものがついて回ります。匿名性がもたらされることで、多くのユーザーがわずかな刺激に反応するようになり、意見が食い違ったりすると、ぶしつけな物言いをするということが少なくありません。
ネットでは、自分の最も良い面が伝わるように心がけます。意見が食い違ったとしても、尊敬と思いやりの態度を忘れないようにします。相手を尊重し、礼儀正しく、高い意識を持つことが良いネチケットとされています。
ヒント:強調して伝えたい部分があったとしても、強調表示はやめるべきです。節度ある態度とは言えない、声を荒げるような印象を与える恐れがあります。
4. 質問する前に読んで確認する
質問したいことがある場合、まず、これまでの議論のやり取りで投稿された回答をよく読みます。すでに誰かがその質問に対する答えを投稿している可能性は十分あります。似たような質問をすれば、あなたがそれまでのやり取りに注意を払っていないことが露呈することになります。
チャットは非常にテンポが速いため、質問に回答するのも質問するのも、あらゆる情報収集を行ってからにしましょう。
5. ネチケット:文法や句読点に気をつける
時間を取って、書き上げた回答を再度読み通します。文法や句読点、誤字・脱字がないかを確認します。すぐに意味を理解できない出来の悪い文章を読まされることほどイラつくことはありません。文法的な誤りによって、メッセージの意図も伝わらなくなります。
同僚や上司に送るメールや文書を作成する場合、文法や句読点、表記が正しいことは特に重要です。文法や表記に自信がなくても、くじけないでください。校正ツールでチェックしてからメッセージを送りましょう。
ヒント:メール作成の際には、適切な頭語と結語の定型表現も忘れずに入れるようにしましょう。これもネチケットの1つです。
6. 相手のプライバシーを尊重する
これは、日々利用するネットでのやり取りに限らず、職場でも守る必要があります。元々の差出人の許可を得ることなく、送られてきたメールの情報をそのまま転送してはいけません。個人的なメールを複数の受信者に送る場合は、CC(カーボンコピー)ではなくBCC(ブラインドカーボンコピー)で送ります。一般的に、知らない人に自分の名前やメールアドレスを知られることは好まれません。
このインターネットルールは、他の人も写って(映って)いる写真やビデオをアップロードしたり、共有したりする場合にも従う必要があります。そういった個人的なファイルを回覧する場合は、必ず事前に当事者に確認するようにします。
最後にひと言:他人のプライバシーを尊重し、他人の名前やメールアドレスを使ってニュースレターを申し込んだり、フォーラムに参加したりといったことはしないようにしましょう。
7. 相手の時間を無駄にしないよう、情報量に配慮する
私たちの親やそのまた親の世代に比べ、現代では、物事はずっと速いスピードで進みます。情報も、世界中のさまざまな人たちに何の苦もなくあっという間に伝えることができます。そうは言っても、通信路容量、すなわち、回線やチャネルが処理できる情報量には限りがあります。人も同様です。友人や同僚、上司にメッセージを送る場合は、相手が受け入れられる情報量は限られるということを考慮してください。
送信するメールには、言いたいことが十分にわかりやすくまとめられていますか? 論拠が筋道立てて、適切かつ明確に説明されていますか? 誰しも、最後まで読まなければ何が言いたいのかわからないメールに無駄に時間を取られたくはありません。時間と労力の無駄であり、とにかく迷惑です。いずれにせよ、相手の時間を無駄にしないよう、情報量に配慮することもネチケットの1つです。
8. 相手のミスに寛大になる
インターネットでフォーラムに参加する誰もが、そして、ネットワークにつながる誰もが最初は初心者です。どの分野も同様ですが、初心者であるがゆえのミスは誰にでもあり得ます。しかし、ことオンラインコミュニケーションとなると、マナーやエチケットに欠ける対応が見られる場合があります。
そういったミスは、多くの場合、誤字やあまりに長すぎる不適切な質問や回答です。これを踏まえ、相手のミスに寛大になることが重要です。ちょっとした誤りであれば、それには全く触れないのが一番です。引用に誤りがある、メッセージが強調文字だけで書かれている、文法や句読点がなっていないといった見過ごせない誤りの場合は、相手に宛てたプライベートメッセージで指摘するのが最適です。
ヒント:皮肉は、文章にした場合、ネット上で誰にでも伝わるとは限りません。このため、客観的立場のままでいるのがよいでしょう。それでもやはり、友人や親しい同僚の間で皮肉りたい場合は、スマイリーやGIFといった絵文字を使用します。絵文字によってメッセージの意味が強調されることになるため、絵文字は慎重に選ぶようにしてください。
9. ネチケット:力を乱用しない
現実の世界同様、ネットの世界でも、力のある人とそうでない人がいます。フォーラムのモデレーター、企業内専門家やシステム管理者は力があります。他者よりも力があるからといって、その力を利用する権利があるわけではありません。
ひそかに監視する技術的手段があるという理由だけで、同僚やチャット参加者を監視してはいけません。システム管理者という立場を利用して、私的なメールを読んだり、企業の給与体系を調べたりするようなことも許されません。
10. フレーム戦争の収拾に力を貸す
フレーム戦争は、激しく個人を批判したり、攻撃したりする誹謗中傷合戦です。グループチャットでは、白熱した議論が、いわゆる罵り合いへと発展することがよくあります。そのような議論に参加している場合は、絶対に口を挟まないことです。他人には、自分が接してもらいたいように接するということを常に心に留めておいてください。口汚く罵る行為はネチケットに即した行為ではありません。
ネットで侮辱したり、脅したりすれば、法的責任を負わなければならない可能性があることも覚えておいてください。したがって、議論が白熱した場合であっても、そういったコメントをしようなどという気は起こさないことです。そうではなく、ネットで模範となるような行動を示すようにしてください。
11. 自分がサイバー空間のどの場所にいるかを自覚する
ネチケットは、ネットの場所によってさまざまに解釈されます。例えば、テレビ局のディスカッショングループでは、噂を広めるのはごく当たり前のことです。しかし、真剣な議論を行うグループで同じことをすれば、すぐに不評を買うでしょう。このため、自分がネットのどこにいるかを自覚することが重要です。
これは、つまり、自分に馴染みのない新たな場所にいる場合、周りをよく観察して要領をつかむ必要があるということでもあります。サイバー空間のその場所にいる他の人たちが互いにどのようにやり取りしているかを理解し、それに合わせるようにします。
12. ヘイトスピーチとネチケット
ネットにおけるいわゆるヘイトスピーチは、特にSNSでは深刻化しています。多くの場合、写真や投稿の下に差別的なコメントが書き添えられています。一方で、憎悪的発言を広めることを目的に協力する特定の参加者たちが、協調的行動を再三にわたって繰り広げています。非主流の社会集団や宗教団体、外国人や黒人がそういった行動の被害者になることも珍しくありません。
ヘイトスピーチに対して私たちは何ができるでしょうか? インターネットでそういった意見を見かけたら、ウェブサイトのプロバイダに報告する必要があります。多くの場合、SNSでは、投稿のすぐ下に、その投稿を報告できるオプションを設けています。SNSプロバイダは、明らかに違法な内容の投稿を24時間以内に削除する法的責任を負っています。
また、ヘイトスピーチの拡散者に積極的にアプローチし、彼らの主張が間違っているということを、加害者が認めるまで示し続けるという方法もあります。彼らが主張する「事実」の説明を求め、憎悪に対して明確な立場を取るのがいいでしょう。議論をより建設的な方向に持っていくようにします。ただ、いかなる場合でも、憎悪や侮辱に反応してはいけません。それによって、責任を問われることになる恐れがあります。
ネチケット:子どものための安全ルール
インターネットは、日常においても、学校や職場でも、私たちの生活を便利に豊かにしてくれます。しかし、インターネットには、ダークネットといったリスクやマイナス面もあります。子どもと話をし、インターネットで直面する恐れのあるリスクについて説明してあげてください。子どものプライバシーを尊重し、インターネットを利用する際に守る必要のある、以下に挙げる子どものためのルールについて説明してあげてください。
13. ネット上で個人情報を明らかにしない
SNSの利用は当たり前、そして、なりすまし犯罪やソーシャルエンジニアリング攻撃が横行する現代では、個人情報を明かさないことが最も重要です! どんな場合であっても、パスワードや、名前、住所、電話番号といった個人情報をネットで明らかにしてはいけないと言い聞かせます。学校名やクラブ名も伏せる必要があります。
14. 中性的なニックネームを使用する
チャットルームでは、子どもに男女どちらでも使える中性的なニックネームを使用させるようにします。そうすれば、まず、身元が明らかになることはありません。また、中性的なニックネームなら、他の子が侮辱されたように、あるいは、馬鹿にされたように感じることもありません。
15. ネチケットとボット/釣り投稿
いわゆるボットとは、一般的に、人とやり取りする必要なく、自動でタスクを実行するコンピュータプログラムのことです。SNSチャンネルでは、ボットがコメントを投稿するだけでなく、自らのアカウントで投稿することさえあります。
ボットがフォーラムに大量のメッセージを送ったり、投稿に大量のコメントを送ったりすることもよくあります。こういった投稿は特定して削除する必要があるため、非常に迷惑です。したがって、ボットはネチケットに即していないため、できる限り避ける必要があります。
16. 子どものためのインターネットルール:チャットの参加者を信用しない
子どもは、知らない人に近づく場合、ある程度の猜疑心を持つ必要があります。おかしなプロフィールや写真の背後にどんな人物が潜んでいるか全くわからないのです。例えば、チャットで意気投合したからという理由だけで、子どもが見知らぬ人物と会うようなことは絶対に避けなければなりません。悪意を持った大人である可能性もあります。
同様に、FacebookやInstagramといったSNSで、見知らぬ人物を絶対に友達に追加しないよう言い聞かせる必要もあります。また、メールなどのメッセージや添付ファイルを安易に開かないということも注意しましょう。開いてしまえば、トロイの木馬やマルウェアをうっかりダウンロードしてしまいかねません。
17. 公平さを第一にする:誰も仲間外れにしない
子どもがグループチャットでやり取りしているのであれば、仲間内だけに受け、置いてけぼりを食う子が出るようなジョークは飛ばさないよう言い聞かせます。そういうことは、プライベートメッセージで伝えるのがいいでしょう。チャット参加者の中に疎外感を味わう人が出ないよう配慮するする必要があります。忍耐、尊重、思いやりを重視することもネチケットです。また、全員が使っている言葉だけで話をすることもネチケットの1つです。
学校のグループチャットで復習や発表などを行う際には、チャットメンバー全員が同じ段階に進めているかを必ず確認するよう伝えます。全員が理解できるとは限らないテーマについて説明する場合は、そのテーマについて質問してもらい、それに答えるという形を取るのが良い方法です。
18. 子どものためのネチケット:短く、わかりやすく
投稿や回答、また、質問でさえも可能な限り、短く、わかりやすく示す必要があります。何が聞きたいのか要領を得ない、無駄に長い文章など誰も読みたくはありません。
小難しい言葉や同じ言葉の繰り返しは、チャットやフォーラムを停滞させるだけです。誤字・脱字があると読みづらくなり、言っていることが理解しにくくなります。チェーンメールを転送することも、相手を尊重するオンラインコミュニケーションとは言えません。
19. ネチケットとオンライン学習(生徒のためのヒント)
コロナ禍で、学校の授業のほとんどがオンラインで行われました。自宅で授業を受ける、いわゆる自宅学習は、生徒、教師、両親が共に乗り越えなければならなかった、新たな挑戦でした。次に、自宅学習のヒントをいくつか挙げてみましょう。
•チャットスレッドでクラスメートの質問に答えるなど、子どもたちは互いにサポートし合う必要がある。
•授業をデジタル方式で記録したり、授業のスクリーンショットを撮ったりすることは、先生の許可を得たうえで行うよう指示する。
•自宅学習は丁寧かつ礼儀正しい話し方で行うのが絶対条件である。
•学校から提供されたパスワードと認証情報は、どのような場合であっても、子どもから第三者に伝えてはならない。
•時間どおりに授業を開始できるよう、子どもたちは、授業開始の数分前には準備ができている状態であること。教材を準備し、ビデオ会議用のカメラのスイッチを常に入れておくこと。親は、子どもが登校時と同じ服装であることを確認すること。
•質問や意見があれば、発言すること。発言後は、背景騒音が授業の妨げにならないよう、マイクを再びミュートにすること。
20. 我が子を信頼する
最後に言っておきたいのは、インターネットを利用する子どものための最も重要なルールは、子どもを信頼することだということです。結局のところ、子どもがPCやスマートフォン、タブレットで授業を受けているかどうか年がら年中監視することはできません。それぞれの体験を通して学ぶのは子ども自身です。子どもの能力を信じて、子どものネット活動を常に監視するのはやめましょう。多くの場合、最悪の事態が起こったときには、子どもは親に助けを求めるものだということを知っていれば十分です。
結論
上記に挙げたネチケットルールを守れば、日常生活や授業、仕事におけるオンラインコミュニケーションに何の問題もないでしょう。また、礼儀正しく、愛想よく振る舞えば、同僚や上司から好意的に受け止められるでしょう。
特に子どもの場合、ネットでの正しいマナーを早い段階で身に着けることは重要です。ソーシャルインタラクションやネットでの正しいマナーを身に着けることも、現実世界と同様に重要です。
以下のセキュリティソリューションには、インターネットのペアレンタルコントロール機能が搭載されています。
ネットをテーマにした保護者向けのその他の興味深い記事